勲章にならないもの。

見事なダイビングを決めてしまった。問題はそこが砂浜でもプールでも地上1000メートルでもなく、尚且つ私が自転車に乗っていた事くらいだ。出勤の途中に車道から歩道への段差に前輪が弾かれ、浮いた前輪が着地失敗である。
何度も同じ愚痴になってしまうが、この街の交通路は特に徹底的に人力で動く車輪のためには出来ておらず暴力的な発動機のついた鉄の塊に乗る者の独壇場だ。「21世紀だよ?」と思わず南海キャンディーズ風のツッコミを入れたくなるような、今だに自らの出すホン数が自らの価値を誇示するという牧歌的且つ大いなる勘違いをしている少年たちですらここでは市民権を得たかのように振舞っているというのに、人類史上稀に見る高効率機械たる自転車に跨る者はやけに肩身の狭い思いをして不均一な道路の振動を最も大きく受ける道の端を進む運命にさらされている。不公平な世の中である。どうせ道交法を破るならマフラーを外して爆音を出す代わりに『AKIRA』に出てきた金田のバイクに改造するとか『北斗の拳』でケンシロウに秒殺されるキャラみたいにモヒカンで鋲打ちジャケットの格好をするとかしてくれればいいのに。あ、話が横滑りしてますか。
そんな訳で土日は痛めた足を引き摺って積極的に外に出る気にもならず家の中でコトコトと趣味の一環のように牛スジを煮込んでいたのだが、まあ考えてみればそれほど普段からアクティビティが高い休日を過ごしてはいない事を考えるとなーんだノーダメージという事が自分の引き籠りがちな性格を再確認させられて大打撃。