[消費物件]:泉かねよし「メンズ校」

知り合いから4巻まで借りて読了。少女マンガで男子校を舞台として取り上げる、というのは吉田明生もやっていたけど(『河よりも長くゆるやかに』ね)、こちらはかなりギャグ要素が強い&テンション高い。それ故にか、男子校のディフォルメが強いような印象もある。この男子校美形多過ぎとかあまりに行動と思考が極端過ぎとか女の子にどストレートで発言し過ぎのヤツがいるとか。もっとねえ、男子校ってすっげー地味でジメジメしていて救いようのない感じなんですよ、本来は。って、自分自身男子クラスにいたけれど男子校にはいたことないし、「野郎から聞く男子校の話」を総合して想像している部分も多いんだけど。
まあそういったディフォルメ要素もギャグとして受け止めれば結構面白いんだけども、シリアス部分にまでそのディフォルメ要素が入ってくるとちょっと興醒めだったりする。少女マンガの少年マンガに対する一番のアドバンテージはキャラクターの心情・内面描写(特に女性キャラ)だと思っているのだけれど、男子校の男性キャラを描くのに力を入れ過ぎてるせいか、女性キャラの描写が凄く弱まっている印象。それが最も具現化したと思うのが3巻に出てくる主人公の恋愛話。亡くなってしまった片思いの同級生を忘れられない主人公が彼女と同じ名前の女の子に惹かれる話しなのだが……んー何て言うか、その女の子っていうのが絵に描いたようなツンデレ。もっとストレートに言うと支離滅裂。その女の子が主人公に惹かれるのは、主人公の心理や行動についてシリアス部分からもかなり描き込まれているのでなんか納得いくだけの蓄積がされているのだけれど、「デートに誘われた男の子に対してボーイズラブ的展開を求める」「“まあいいけど…ヒマつぶしにもう少し彼女やってあげても”“あんたなんかぜんっぜん好きになれないけどねっ”といいながら顔を赤らめる」といった行動をとるといった、なんだその「頭の悪い萌えマンガ」にしか出て来ないようなイタイ女性キャラはっ、という風な女の子に主人公が可愛さを感じるのはもう完全にリアルの向こう側。ギャグを際立たせるための男性キャラのディフォルメについてはシリアス部分の描写も同量程度されているのでバランスが取れているが、反転して女性キャラにそのディフォルメが反映された時には、元々女性キャラの描写が少ないマンガであるため、ディフォルメがオーバードライブしてしまっているのだ。
とは言え、4巻後半のエピソードはかなり女性キャラのディティールに力を入れているようなので、今後どんな風に持ち直していくか、もしくはオーバードライブを続けるのか、先行きが楽しみではある。