遠近法と地図。

一昨日、昨日と東京に出ていた。大学時代の友人と久々に会うためだったのだけれど、土曜日に行った千駄木は曇りがちの天気のせいばかりでなく何となくくすんだ空気の流れる土地で大変親しみを持てる感じだったのだが、日曜日は原宿に行くと聞いて実は内心ドキドキしていた。最近ヘビーローテーションとなっている井上陽水の『氷の世界』の話を年下の人に振ったら全然知らないと白い眼で見られたり、上司や同僚からは年齢詐称疑惑まで囁かれる私なので、原宿なんていうお洒落な街に出たら死して屍拾う者無しどころか原子分解も已む無しの警戒レベルである。
果たして原宿駅を出て待ち合わせのラフォーレ原宿はどこかなあとおのぼりさんよろしく街頭案内に近付いた瞬間、後ろから自転車に轢かれた次第である。いやまあ轢かれたというのは大袈裟で実際にはそんなにスピードも出ていなかったらしく踵にぶつかった程度の事なのだが、自分が心底この街から歓迎されていない事を知るには十分。ウェルカムチャリがこの街の流儀かッ、と被害妄想バリバリで恨めしげに振り返るとぶつかってきたのは割とキュートな女性だったので取り敢えず痩せ我慢で紳士的態度。ドンマイ。
帰りの地下鉄で妙齢もいいところの女性がフリフリのゴスロリファッションで乗り込んで来たが、あれはインスタレーションか何かだったのだろうか。隣に座っている男性も口数が少なく俯きがちなのが妙に哀愁を誘う感じで、何故かつげ義春の漫画のイラストのように見えた。