一つの時代が終わりを告げた。

思えば丁度10年前、当時高校受験を控えていた私は、その3日前にSPIRAL LIFEのベストアルバムを買いに行って親やら塾の先生やらに呆れられたりしていた。2人組のユニットとして活動していた彼らの音楽を、私はその当時好きだった「フリッパーズギターと似ている」という事で友人に勧められたのだ。聴いてみると雰囲気は確かに似てはいたが、そこには彼ら独特の、そしてフリッパーズを超える何かが存在していた。
彼らはその時には既に解散しており、それぞれ新たな活動を始めていた。その片割れが新たにユニットを結成していると聞いた私は、早速ファーストアルバムを買い求めた。SLの音楽の中からメロウのエッセンスを極限まで抽出したような、いやそれ以上の音楽がそこからは溢れてきた。ユニットの名は、SCUDELIA ELECTRO
考えてみれば、それから現在に至るまでの10年間、彼らの音楽がいつも傍らにあった。正直に言ってしまえば、それら以上に心惹かれた歌や曲が多くあった。それでもSEの音楽は、私にとって特別な存在だったのは事実なのだ。疾走感、切なさ、爆発力、安心感、熱、融和感、衝動……その全てを、彼らは紡ぎ出した。代替の利かない、彼らだけの音楽で。
2005年2月10日。SEの解散を知らせるメールが送られてきた。何回も読み返す。ゆっくりと、意味が伝わってきた。それは正に、10年分の地面がなくなってしまった感覚。
それでも。
SEの音楽は確かにそこにあった。それは私の10年間を証明する、力強い楔となっている。だから今は、この別れを受け入れよう。彼らの10年間と、新たな力を信じて。