君の望むものはいつも手に入らない。

バイトの帰り、私鉄から乗り換えたJRのU野駅構内で、キャンペーンでもやっているのか人だかりが出来ている。野次馬根性で覗き込んだところ、群馬県内の温泉のプロモーションらしい。これからちょうど福引を始めるというのでひょっこりと並んでみる。周囲を窺うと他の人達も私と同じ程度のモチベーションらしく、それなりに列をなしてはいるが気合の入った顔は見られない。私は基本的に行列が嫌いなのだけれど、こういう緩い行列なら嫌いではない。むしろ好きかもしれない。多少の期待から逸る気持ちを持ちつつ、ちょっとした高揚感を伴なう一体感がいい。逆に、間違っても秋葉原のじゃんがららーめんのように、全員の気持ちが強烈にラーメンに向かっているような行列には並びたくない。ラーメンてそこまで気合入れて食うもんかなあ。
温泉の宣伝を兼ねた、プロを感じさせる滑らかなアナウンスは高らかに「空くじなし」を宣言する。前の方でくじを引いた人を見ていると、最低でも小型のダルマが貰えるらしい。どちらかと言えば、むしろ積極的にそのダルマが欲しい。掌にちょっと余る程度の大きさで、非常に愛らしいのである。下手をすれば持て余しがちな温泉宿泊券なんかよりそちらの方が余程嬉しい。よし私の当たりはダルマだそれに決めた、と考えつつ自分の順番を待つ。ダルマ、ダルマ、ダルマ、最低賞だけあって続く。これなら私も決定的にダルマだろう、と考えながらも少し期待と力を込めつつくじを引く。
「おめでとうございます、入浴剤でーす」
何でこういう時に限って運が働くかなあしかも中途半端にorz 頭の中ではcorneliusの「(You can't always get) WHAT YOU WANT?」が絶賛再生中。何だか自分の人生の法則を改めて確認したような気分。ゲットした入浴剤は全力で祖父母へのプレゼントとする事を決定。
近くでキャンペーンの一環として愛想を振り撒いていた着ぐるみと戯れる子供達の姿に和みつつも、何だかこの結果に理不尽なものを感じてしまったので、その勢いで駅近くのYマシロヤという玩具屋へ突入。『トライガン』の「ヴァッシュ・ザ・スタンピード」スタチューを衝動買いしてしまう。これはとてもいい出来で、やっと自分の中の天秤が釣り合った。矢張りフィギュアの真骨頂はメカと筋肉と丁寧に造り込まれたディテール。話題横滑りしまくり。