屈折を受け入れずに認める事。

スガシカオの『Sugarless』を中古CD屋で購入。スガシカオのCDは、新品で買うほどではないけれども状態が良くて値段が安かったら買う、という無理のありそうな基準で見ているのだが、意外に集まりが良くこれで持っていないオリジナルアルバムは最新のものを除けば『Sweet』のみとなった。
そのような訳でファーストアルバムから順に買っているのではないのだけれど、個人的には『SMILE』と『4Flusher』が圧倒的にいい。「ストーリー」や「夜明けまえ」で最初に注目した時には「シングルベストとか出たら買うかな」程度に思っていたのだけれど、この2枚を聴いてアルバムを評価するようになった。
私のCDアルバムの評価は1曲目のイメージというのが強い。そういう点から考えると、上記2枚のアルバムの好評価は1曲目を気に入ったから、と言っても過言ではないと思う。ではこれらについてはどうかと言うと、2枚とも1曲目に共通した性質が感じ取れる。『SMILE』所収の「Thank You」といい『4Flusher』所収の「かわりになってよ」といい、何というかネガティブに開き直るとでもいった歌詞なのだ。まあこの人の曲の多くはネガティブっぽい歌詞ではあるのだけれど、この、どう考えても少々世間的にイタイと思われる男の姿を描き出されている歌詞に、拡大された自分の中の屈折した部分を抉り出されているような刺激を受けてしまう。そして旋律を合わせるスガシカオの乾いた歌声が妙に魅力的に響く。何故それが魅力的なのか、分析して出来ない事はなさそうなのだが、そんな事をすると更に深く自分の心を抉られ修復不可能になりそうなので怖くて出来ず、流れる音楽に身を委ねる日々。
※「Thank You」については以下のサイトから歌詞を見る事が出来ます。→http://www.utamap.com/


Sugarless スガシカオ『Sugarless』
SMILE スガシカオ『SMILE』
4Flusher スガシカオ『4Flusher』