デビルマン。

今日映画版を観てきました。「内容の伴わないCGの美しさほど空しさを感じさせるものはない」というのが鑑賞後にまず思った事。『デビルマン』(コミック版)と高校生の頃に出会い、それ以来何度読み返したか分からない私としては最初心配していたんですよ、春先にやっていた『CASSHERN』とテーマや内容的に被らないかなーって。『CASSHERN』、前にも書きましたけど*1、意外とテーマ性のはっきりしたいい映画だったと思います。確かに話の整合性が取れていない部分は多いし、トンデモ系のテイストは否めませんが。いやむしろ、私は期待していたのかもしれません。『CASSHERN』という先例が既にあるのだから、『デビルマン』はきっと原作をしっかりと踏んだ名作となる可能性すらあると。何せ前々から噂で永井豪がチョイ役で出るという話は聞いていましたからね、原作者を招くのだから相当気合を入れて作っているんだろうと考えていました。
果たして私の不安は杞憂に終わり、期待は脆くも打ち壊された訳です。ええもう何つーか監督と脚本と不動明役をやっていた主人公を呼び出して目の前に正座させたい! いやその前に原作を通しで10回読み直して来い、話はそれからだ!! あ、つい興奮してしまいました。とにかく主人公が大根。ある意味突っ込みどころ満載。ストーリーは展開が異様に早い。原作に出てきたデビル達を出そうとしているんですが、殆どがチョイ役。お陰で人間を護る、デビルを殺す事に対する不動明の葛藤が全く見えてきません。最終決戦に関しては原作通りの戦うモチベーションが存在しているのですが、CGの素晴らしさだけゴリ押しされても「衣谷遊寺田克也はやっぱり凄いなー」という程度の感想しか持てない。相変わらず、キャラやら原作やらの力ばかりが先行する映画作りが行われている事を再確認しつつ、私は『デビルマン』を心の「嫌箱」にそっとしまわせていただきました。

*1:ちなみにこの感想、何時の間にか引用されていてかなりびびった。大した感想でもないのになあ。ちなみに「人間の美しさ〜」という点よりも私としてはあの「正義だろーが何だろーが暴力は結局空回りっぱなし」という方が印象に残った部分です。あれだけ格好悪い、惨めな、何も出来ないヒーローを主人公にした映画というのはそうそうないと思うのですよ。力があれば大事な人を護る事も事態の収拾も出来る……という期待を限りなく削り取るあの姿が多分、この映画のメインです。ええまるでザンボット3のようにな。ちなみにあの取って付けたようなラストはフェイクです。夢落ちぽくまとめてピースな映画を装って何かを欺こうとしています。私はそう思っています。以上、5ヶ月遅れの補足事項でした。