プロ野球。

前に週刊アスキー歌田明弘が「プロ野球が……正確に言えばプロ野球をめぐる力学と権力の闘争が……こんなに面白いとは思わなかった」というような内容の事を書いていたように思うのだが、まあ結論として本日ストが決行された。読売新聞は相変わらず論調をストへの非難という形で統一しており、日テレの視聴率操作問題の時に割と毅然とした記事を載せていた時には大分見直したというのに今回は経営陣および巨人軍べったりかよ、そんなにナベツネが怖いか、などと思わず口の端を歪めてしまう今日この頃ですが、他の新聞は基本的に選手会支持の経営者批判ぽいので微妙に報道全体としてのバランスを取るという点ではこれでいいのかもしれないけれど。
まあそれにしても、このように経営者側と選手会が「圧政者対被圧政者」といった具合の関係性として一般人に捉えられるようになってしまった事が、このごたごたを長引かせた大きな一因だろう。選手会長の古田氏は政治力があるというかトレンドを見る能力をちゃんと持っている人だと感じるので、ストを決行しても選手会に同情票が集まらないと考えたら恐らくこの手は打ってこなかったと思う。果たして、ストを決行した今でも選手会への同情の声は各所から聞こえてくる。
実際問題、経営者側の言い分は外聞を考えず圧政的になり過ぎていた、と感じる。例えば今回の合併問題について選手側から年俸や保障に関する声が上がった時「社員は会社の方針に従うものだ」みたいな発言の一方で「選手会労働組合とは認めていない」と言ったり。当初は完全に「素人は口出すな」といった雰囲気で、それまで通りに密室で事を運ぼうと考えていたんだろうが、如何せん今回は問題が大き過ぎたのだろう。その上メディアに強い選手会長が世間の耳目を引くようなアピールを大分行った訳だから、完全な見込み違いだった、と考えられる。
何だか最近、こういった「強気が転じて墓穴を掘る」という状況に陥りがちな方々が多い気がする。栃木県の幼児殺傷事件の被害者の父親である小林氏は記憶に新しいが、拉致被害者・蓮池氏の家族についての調整を行っている状況下で拉致被害者家族会が「北朝鮮経済制裁を」と発言した事で支持率を大幅に下げたとか。それともこれは、最初の内は被害者として持ち上げておいて人気が絶頂になったら思い切りよく落とす、というマスコミのマッチポンプ的戦略に乗せられる事がシステム化してしまった結果なのだろうか。