かつじのひ。

西尾維新クビシメロマンチスト』『きみとぼくの壊れた世界』読了。


クビシメロマンチスト』は『クビキリサイクル』の続編。
読後の不快感、後味の悪さは圧倒的にこちらの方が上。
物語の裏側まで全て曝け出すような。
美しい世界の、醜い多様性を暴き、ロマンチシズムから読者を目覚めさせようとする意志が、そこにはあるように思う。


それに比べると、『きみとぼく…』は全く逆のベクトルを持っているように感じられる。
世界は論理的にはできていないから、最良を求めようとすればするほど自分の幸せは埒外のものとなり、自分と世界との距離が開いていく事。
その中で、自分の持っている領域がどんどんと壊されていってしまう事。
そういった状況から自分を解放するためには、壊れた世界を壊れたまま受け入れるしかないという事。
それは踏み絵のようなもの。
世界を受諾するか、死か。
結局、ましな方を選んでいくしか生きていく事はできない、という嫌な事実を再確認させられる作品。




他に昔読んだ高畑京一郎の『クリスクロス』が本棚から発見されたため、少しの間読み入る。
確か中学の頃に、これと岡嶋二人の『クラインの壺』を比較して読書感想文を書いた事を思い出しましたよ。