レンズ放り投げて。

取り敢えずこの年末年始で消費したものをメモ。

・小説
江國香織流しのしたの骨 (新潮文庫)新潮文庫
ちょっと変わった家族の話。流れるような文体。読んでいて気持ちがいい。何故自分にはこういう文章が書けないのだろう、と言ったら友人からおこごましいと一言切り。ぬう。
三崎亜記となり町戦争 (集英社文庫)
前評判が高すぎ。気合を込めて読むと微妙。適当に「ああそんな本もあったねえ」と読めばそれなり。「日常」というシチュエーションに「戦争」という出来事が起きる、そのミスマッチの妙はタイトルの語感そのままだけど、そのミスマッチの面白さを十分に描くにはちょっと足りなかったかなあ。それは枚数なのか、書き込み方なのか判別付かないけど。
乙一ZOO 1 (集英社文庫)』『ZOO 2 (集英社文庫)集英社文庫
前に読んだ『平面いぬ。』に比べてより先鋭化した乙一の作品世界の印象。『GOTH』の突き抜け方とはまた違った感じの。1巻に収録されたものは先に映画で見ていて、その時には何だかよく分からなかった表題作「ZOO」の内容がやっと分かったのが収穫。個人的には2巻収録の書き下ろし「落ちる飛行機の中で」の緊張感と脱力感のアンバランスさがベスト。

・映画
『敬愛なるベートーヴェン
甘ったるい恋愛ものかと思って最初は物凄い荒んだ眼で観ていたのだが意外に面白かった。自他共に認める「孤高の天才」ベートーヴェンと、彼の才能に対抗する力を持った初めての女性写譜師の話。クラシックに素養はないので色々細かいところに眼は行っていないというのはあるけれど、ベートーヴェンとアンナ(写譜師)がその才能を認め合いながらライバルのような関係になっていく中での緊張感の高まりは心地いい。あと、クライマックスとなる第九の演奏シーンは矢張り圧巻。それをラストシーンにせず最後はほろ苦い感じで締めるのも好み。ベタぼめじゃん。
『王の男』
破滅的で、ある種セカイ系


そんなこんなで、今年もよろしくお願いします。