輪廻前転。

久し振りにテレビで久米宏を見た。「A」という新番組で、内容的にはニュースバラエティというか「スマステーション」の劣化コピーのような感じではあったけれど――まあ「スマステーション」も当初は凄いカツカツの様相ではあったが――、何より彼の憑物が落ちたようにさっぱりとした顔が印象的だった。家の母親は学生の頃よく深夜ラジオを聴いていて、特に久米宏のやっていた番組が好きだったという。私はその頃の彼をよく知らない。私が知った時には、既に「如何にも朝日のニュースキャスター」久米宏しかそこにはいなかった。もしかすると「憑物が落ちた」というように感じたのも、そのイメージが私の中で確立されているからだけなのだろうか。そう思うくらい松浦亜弥とはしゃぐ姿は、バラエティが板に付いていた。
または。
「ニュースキャスター」という枠に良くも悪くも嵌め込んでしまう、それこそ「〜ステーション」のチカラなのかも知れない――勿論久米宏自身がその枠自体の形成に関与していなかったという事はないのだろうけど。平日の夜9時54分からのテレビ朝日は魔窟だと思った(関東番組表対応)。古館伊知郎がその闇に飲み込まれていく姿がチラッと思い浮かんだ。