学校。

日曜日の朝から今朝にかけて臨時のアルバイト。
内容は小学校の警備。
警備と言ってもずっと起きて巡回している訳ではなく、日曜日なので基本的には子供もいないから臨時の人間でも大丈夫、という事だったのだが、点検システムについて事前に一通り教えていただくために学校を訪ねた際、「仮眠室で寝るのが嫌だったら畳敷きの部屋の方で寝てもいいからね」と言われた事が妙に心に引っかかっていた。
日曜当日、私の前の当番の方(事前説明してくれた人とは別)に思い切って訊いてみる。
RysK「あのー、先日こういう風に言われたんですけれど、何か曰く付きのお部屋なんですか、仮眠室って」
当番の人「いや、そういう話はこの学校にはないですよー。そういう感じもないしね」
RysK「ああ、そうなんですか(ほっ)」
当番の人「割と私は見える方なんですけどね、ここでは一度もないですよ。○○小(すぐ近くの別の小学校)は凄かったねー」
それ以上聞くとその後に巡回に出る事が出来なくなってしまいそうだったので何気に話題を逸らす。


実際にやってみると、普段の三倍ほど読書がはかどってしまう位の平和さ。
夜中に校庭に忍び込んで馬鹿騒ぎをする集団なんかもおらず、巡回が終わったら後は朝まで寝るだけ……と考えていたのだが。
校内の巡回をしている間は通路に電気を付けるので案外感じないのだが、待機室に戻って静かにしていると人がいない学校というのはやはり怖い。
この感覚は何で起きるのだろう、と前にも考えた事がある。
恐らく、私達は学校という場所を昼間一時的に間借りしているに過ぎないからなのだ。
日が落ちた後、昼間はあれだけ賑やかなのにも拘らず、一般的な人間にとって学校は立ち入りの許されない場所に変わる。
昼と夜の落差と共に生じる不文律の圧力は容易に人の心に不安感を生じさせるだろう。
それを形にして表したものが、所謂「学校の怪談」ではないだろうか。
まあどんなに理屈を付けようとも怖いものは怖い、という事は、仮眠室の電気を消して寝る事が出来なかった事が証明しているのですが。