山口智子。

昨日とはうって変わって、大変趣味的な話。


その昔『ロングバケーション』というドラマがありまして、当時高校生だった私はこのドラマに夢中になっていました。
基本的に所謂「トレンディドラマ」という類の番組を見る事はなく、むしろ「ケッ、あんな無内容なドラマ群はくだらないね」とかそれまで思っていた私の人生においては、一種の革命的な出来事でした。
まあ正確に言えば、私が夢中になっていたのはドラマではなかったのです。
ヒロインである「南」こと山口智子に、私は夢中になっていたのです。


当時の私の中では山口智子は明らかに理想の女性像として認識されていました。
とは言え別に写真集やら週刊誌やらを買い漁るでも他の番組をチェックするでもなく、せいぜい電気屋に置いてあるODNの広告(当時は山口智子が出演していた)を貰っていったりする程度でした。
恐らく私は、そういった詳細な情報によって自分の中の「理想像」が崩れてしまう危険性を避けようとしていたのでしょう。
いや、もっと積極的に言えば、そんな情報は最初から必要なかったのです。
ロングバケーションの「南」、ODNのCM……快活で、強さとしなやかさを持ち、時に崩れそうになる側面を持ち合わせる女性像。
私に必要だったのは、そんなメタ的な女性像を投影するための実体であり、たまたまそのイメージを演じていたのが山口智子だった、というだけなのかも知れません。
事実、彼女がこれ以降TVへの出演が減った事にも、私はそれほど大きなショックを受けませんでした。




それでも今日、『SMAP×SMAP』に出てきた山口智子は、高校生の私を夢中にさせたあの8年前と変わらない笑顔を見せていました。
「女性像」というバイアスに関する私の逡巡など一蹴するくらい、相変わらず彼女は格好良かったのです。
高校生の頃の自分が、何となく「ほっ」と溜息をついた気がしました。




……ていうか、あれで今年40歳というのは明らかに反則だろ、おい。